ひとり街宣から見る未来

今回の7月7日に行われた東京都知事選での街中で行われた「ひとり街宣」というムーブメントに注目してみます。
街宣というのは街頭宣伝の略称で、「街宣」という言葉自体は政治とか選挙に限ったことではないですが、今回はいわゆる選挙戦における街頭演説のことです。
この「ひとり街宣」というのは、候補者が街に立つのではなくて、ある特定候補の支援を呼びかけたり、「選挙自体に皆さん目を向けましょうよ」と訴えたりするものです。
今回の選挙の驚異的な投票率に驚かされましたが、その数見ても実際には6割が投票してもと、まだ4割は投票所に向かわないという現実があるわけです。
投票率が変わると投票結果もかなり変わるというのは、政治科学的にも証明されていることで実例もあります。
組織票とは、雨が降ろうが風が吹こうが、忠実な投票行動をするので、その票の数は大体変わらないと言われています。

一方で東京は特に無党派の人が多く「生まれ育って終の棲家までずっと東京」という方ばかりではないので、そういった人たちをどう取り込むか?という一つの方策がこの「ひとり街宣」です。

まさに
「ひとり街宣」は究極の個と個の向き合いです。
2022年の杉並区長選で、長らくヨーロッパで暮らして、現地の市民運動などに従事していた岸本聡子さんが、たった2か月の選挙戦で当選したことが当時の話題になりました。その時に原動力になったのが「ひとり街宣」だと言われています。

岸本候補に心打たれた、芹沢悦子さんが「ひとり街宣」を始めました。投票を呼びかける行動を駅前や商店街の入口でダンボールの切れ端にちょっと手書きのポスターを用いて始めたもので、だれか特定の候補者にというわけではなく「選挙自体に行こう」と呼びかけたのです。

今回の都知事選では、この投稿文を書く前に読んだ記事の筆者の方が「ひとり街宣」をしている人に直接会いに行っておられます。
比較的、蓮舫候補を応援する方が多かったそうです。
ただし街宣中は「(候補者名)さんをよろしく」と口頭で言うのはよくても、直接投票を促してはいけないとか、マイクを使って音量を増幅させるのは駄目だとか、手に持てる大きさの紙で出来たものは持っていいが、その紙に候補者の名前を書くのはダメなど、細かいルールがあります。
制限のある中での「究極の個と個の向き合い」。「ひとり街宣」を行った方によると、「民主主義という社会に生きていることが体感できる」「社会に向かっての自分の気持ちも表明できるし、自分自身もこの世の中に対して抱えているモヤモヤが払拭できたり、より可視化されたりして、自分の人生のためにも良い」と皆さん口を揃えて言っておられたようです。

元明石市長の、泉房穂さんも注目していましたが、
「ひとり街宣」が急拡大した理由
 
について着目してます。「ひとり街宣」が今年の都知事選で急拡大した理由の一つに、「ひとり街宣MAP」という地図アプリが7月頃に出来たことです。
「今日、私はここで街宣しましたよ」とスマホで投稿すると、ほかの人も含めて街宣が行われた場所が地図上にピンクのロゴで表示されるというもので、選挙運動最終には東京中が「ひとり街宣」を行ったことを示すピンクのロゴで埋まった状態になっていました。
これは、「国政だろうが地方政治だろうが、主役は政治家ではなく、有権者であるあなたや私が、希望する社会の実現のために動くということだ」ということを表明するもので「立候補している人たちは、実際その政治の場に立つ」と思われがちだけれども、「投票行動をしている人たちもまた政治の当事者である」という、非常に真っ当な話でして、それこそが民主主義だなーと感じました。
「United Individuals」日本語に訳せば「連帯する個人」を表します。
「ひとり街宣」を魅力的に感じるのは、市民や都民の1人1人が自発的に、自主的に、自律的な行動をするんだけれども、そのことがあるときは緩やかに、またあるときはタイトな結びつきを見せて、そのコミュニティを活性化していくという点です。ある意味住むエリアではなくテーマでつながる現代版のコミュニティです。

「ひとり街宣」をした人たちの間で、圧倒的に支持されていていた蓮舫さんは、当初、小池さんの対抗馬とされていましたが、結果は3位でした。
では、果たして「ひとり街宣」の効果がなかったのでしょうか?
大阪からSNSを通して見ていた私は、
こんなムーブメントな面白そうな、東京行ってみたいな(住んでたから行きたいって意味ではなくて)と思いました。
実際、ツイートの中ですご!って思ったのが

「結果じゃない、私たちの意見表明こそが民主主義なの、これで終わりじゃないの」って発信している集会の動画や投稿があったのがいちばんの発見。
そう、終わらない、生活は。でも、この結果でなくて社会を変えていくのはひとりひとりだよ!って、東京🗼からの力を感じました。

そして開票速報。
色々な気持ちになりました。
InstagramもTwitterも
「あんなに街中でひとり街宣を見かけたのに、それでも蓮舫さんが、3位ということは、今の政治を動かしているものは何なのか?」というものを可視化したし、なんか国民って舐められてるよね?って改めて見える化したと思いました。
やっぱり、組織票やまとまった票を獲得できる団体やその結びつきがある人、そういったものが今の政治を動かしているということがわかりました。
庶民ではなくて「政・官・財」でグルグルお金を回しているんだなということが改めて浮かび上がり、
誰のための都政で誰のための国会か?を日本中が、見ることができた内容だったのでたので、次に繋がることだと思います。

こういった景色が東京からみれて(去年の大阪で見たかったけど)良い学びになりました。

そして、若い方の投票数がいちばん多かった石丸さん。TikTok、Instagramでは、すごい若手市長って思っていましたが、TwitterとYouTubeで別人か?ってなって、
情報を一方向からだけ得ることの恐ろしさと、ネット環境を最大限に活用した石丸さんの選挙戦略がどれほど結果に作用したのかも見える選挙内容だったと振り返られます。

既存のメディア、地上波テレビは、告示期間中の報道や都知事選の放送の控えをこの状況下で見て、メディアの役割やテレビの役割ってなんだろう?と考えさせられた機会となりました。

結びとして、ひとり街宣は小規模ながらも、地域社会の発展や動きに大きな影響を与える可能性がある意見表明との気づきを得ました。

Screenshot

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